1.ピロリ菌とは

ピロリ菌は胃の粘膜にすみつく細菌で、胃酸の強い環境でも生きられる特殊な性質を持っています。 感染すると長期間胃にとどまり、慢性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃がんなどの原因になることが知られています。 

 

2.どうやって感染するのか

主に幼少期の家庭内感染が中心と考えられています。 井戸水や不衛生な飲料水が原因となることもありますが、現代日本ではまれです。 

 

3.ピロリ菌が引き起こす病気

  • 慢性胃炎(萎縮性胃炎) 長年の炎症で胃粘膜が薄くなり、胃がんのリスクが上昇します。 
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍 胃酸と粘膜のバランスが崩れ、強い痛みや出血を起こすことがあります。 
  • 胃がん ピロリ菌感染は胃がんの最大のリスク因子です。除菌によりリスクを下げることができます。 

 

4.実際の症例から見るピロリ菌の影響

症例1:長年の胃もたれが続いた50代男性 

  • 毎年の健康診断で「胃炎」と言われていたが放置 
  • 当院でピロリ菌陽性が判明 
  • 除菌後、胃の炎症が改善し、胃もたれが軽減 
  • 胃がんリスク低減のため、年1回の内視鏡フォローを継続中 

→ 慢性胃炎の背景にピロリ菌が潜んでいる典型例 

 

症例2:突然の胃痛で受診した40代女性 

  • 強い上腹部痛で来院 
  • 内視鏡で十二指腸潰瘍を確認 
  • ピロリ菌陽性 
  • 除菌治療後、潰瘍は再発なし 

→ 潰瘍の再発予防には除菌が非常に重要 

 

症例3:胃がん検診で異常を指摘された60代男性 

  • 内視鏡で萎縮性胃炎が進行 
  • ピロリ菌陽性 
  • 除菌後も萎縮は完全には戻らないため、半年〜1年ごとの内視鏡を継続 
  • 早期胃がんを発見し、内視鏡治療で完治 

→ 除菌後も定期的な内視鏡が重要 

 

5.ピロリ菌の検査方法

  • 尿素呼気試験(UBT) 最も一般的で精度が高い検査 
  • 便中抗原検査 小さなお子さんにも可能 
  • 血液検査(抗体) 過去感染の判定に有用 
  • 内視鏡での迅速ウレアーゼ検査・組織検査 

 

6.除菌治療について

除菌は、複数の薬を1週間ほど内服する治療です。 成功率は高いですが、薬の飲み忘れがあると成功率が下がります。 

除菌後は、必ず再検査を行い、除菌できたか確認します。 

 

7.除菌後のフォロー

  • 胃がんリスクが高かった方は、年1回の内視鏡が推奨されます 
  • 胃粘膜の状態によっては、半年ごとのフォローが必要な場合もあります 
  • 胃の不調が続く場合は早めの受診をおすすめします 

 

8.よくある質問

  • 除菌すると胃がんにならないのか? → リスクは大きく下がりますが、ゼロにはなりません。定期的な内視鏡が大切です。 
  • 家族も検査したほうがいい? → 家族内感染の可能性があるため、検査を勧めることがあります。 
  • 症状がなくても除菌したほうがいい? → 胃がん予防の観点から、症状がなくても除菌が推奨されます。

 

9.まとめ

ピロリ菌は、胃の病気の大きな原因となる細菌です。 早期発見・早期除菌が、胃の健康を守る最も効果的な方法です。 当院では、検査から除菌治療、除菌後のフォローまで一貫して行っています。 気になる症状がある方、検診で異常を指摘された方はお気軽にご相談ください。 

 

 

ピロリ菌 3次除菌を検討される患者さんへ 

1.はじめに

ピロリ菌の除菌治療は、通常 1次除菌 → 2次除菌 で約90%以上の方が成功します。 しかし、まれに薬剤耐性などの理由で 2次除菌まで成功しないケースがあります。 

  • そのような場合でも、3次除菌(サードライン治療)で除菌できる可能性は十分にあります。 ただし3次除菌(三次除菌)は自費診療です。保険が使えるのは1次・2次除菌までで。3回目以降はすべて自費となります。除菌誤判定の検査も自費となります。 

 

2.なぜ除菌がうまくいかないことがあるのか

  • 薬剤耐性菌の存在 ピロリ菌が特定の抗生物質に耐性を持っている場合、薬が効きにくくなります。 
  • 薬の飲み忘れ・飲み方の問題 1日2回の薬を正しく飲めなかった場合、効果が弱まることがあります。 
  • 胃の状態(胃酸の分泌量など) 胃酸の量や胃粘膜の状態によって、薬の効き方が変わることがあります。 

→ 2次除菌が失敗しても、原因を見直すことで3次除菌の成功率を上げることができます。 

 

3.3次除菌とは

3次除菌は、これまで使っていない種類の抗生物質を組み合わせる治療です。 近年は、薬剤耐性を考慮した治療法が整備されており、成功率も向上しています。 

3次除菌の特徴 

  • 患者さんごとに薬剤耐性を推測し、より効果の期待できる薬を選ぶ 
  • 治療期間は通常 1週間 
  • 副作用はこれまでの除菌と大きく変わりません(下痢・軟便・味覚の変化など) 

 

4.実際の症例から見る「3次除菌」

症例1:薬剤耐性が疑われた50代男性 

  • 1次・2次除菌ともに失敗 
  • 問診で「薬の飲み忘れ」が複数回あったことが判明 
  • 3次除菌では服薬管理を徹底 
  • 3次除菌で成功し、胃の炎症も改善 

→ 飲み方の見直しで成功したケース 

 

症例2:強い胃酸分泌が背景にあった40代女性 

  • 胃酸が強く、薬剤が十分に働かなかった可能性 
  • 胃酸を抑える薬の調整を行い、3次除菌を実施 
  • 除菌成功し、慢性胃炎の進行がストップ 

→ 胃の状態を整えることで成功したケース 

 

症例3:薬剤耐性菌が疑われた60代男性 

  • 2次除菌まで失敗 
  • 3次除菌で別の抗生物質を使用 
  • 除菌成功し、年1回の内視鏡検査に移行